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2月の大人コース

「かげぼうし」

安野光雅 作

冨山房 1,650円(税込)

 

たくさんの絵本を遺してくれた安野さん

私が小学1年生の時、学校の図書室で出会った「ふしぎなえ」。美しい絵なのに、どうなっているのか、階段を上る小人を追っていくうちに、なんとなくねじれていく説明のつかない感覚。文字がないので、“読書”と言えるのかな?と後ろめたく思いながらも、どうしてもまた読みたくて、何度も借りた本でした。

エッシャーのだまし絵風の絵本の他にもたくさん。「旅の絵本」シリーズは、「西洋と東洋は違いばかりに目が行くが、それより同じことの方が多い。同じ地球上の人々の暮らしの詰まった本を描きたい」との思いからできました。

「ABCの本」「ふしぎなたね」など、文字、数、知ること、考えることを楽しむ絵本たち。また、安野さんは空想も大好きでした。「空想は嘘であることを承知の上で、思い巡らした夢である‥合理的な思考から生まれ‥妄想とはちがう」。現実から離れて虚構のうちに楽しんでみる。虚構から現実問題を眺めてみる。そんな本の中から、今月の大人コースは、1976年初版の作品で、「もし、影の国というものがあったらどうでしょう‥」という想像から広がるお話です。         (さつき)