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「よあけ」
あべ弘士
偕成社 1,650円
まず驚いたのは表紙。タイトルや絵からはシュルヴィッツの『よあけ』が頭に浮かんできます。それは、夜明けに向かって、ゆっくりと光を増してゆく大自然を描きます。その中でかすかに動くものたちも、大きな静寂が包みこんでいきます。40年以上も前の作品ですが、今も揺るぎない存在です。
さて、あべ弘士さんの『よあけ』のページをめくると、闇や霧の中で静かに生きものたちが活動しているのです。生きているものたちの物語。夜明け前の薄暗い中に生きものたちの目が光ります。だんだん明けていく太陽の光に、生命の光も一緒になって、強い躍動を感じる「よあけ」です。
シュルヴィッツの作品が前提にあって、そこに敬意をはらいつつ、そこから自由に跳んでみせたあべ弘士さんの想像の世界。
最後には「柳宗元、ユリー・シュルヴィッツ、神沢利子、パヴリーシンら先達への敬意と極東シベリアを流れるビギン川をともに旅した北方民族ウデへの猟師たちへの感謝をこめて」と記されています。 (さつき)
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