「すずばあちゃんの
おくりもの」
最上一平・文
黒井 健・絵
新日本出版 1,650円
黒井健さんの哀愁を帯びた黄色い花の表紙に、本を開く手が自然とそっとやさしくなります。
すずばあちゃんの愛情たっぷりの美しい花のおくりもの。読んでいくと「おくりもの」とは、花の美しさだけではないことがわかります。すずばあちゃんの心の奥には悲しい体験があって、花を愛でることで癒やしてきたのです。その遠い記憶を孫に語るシーンは戦争体験者世代が語り伝える使命にあるという私の想いと重なります。
花を見ることで孫達がすずばあちゃんの想いを受け止める、そんな「花」のおくりもの。(孝子)
不条理を背負わされ、長い月日、胸にしまい込んであった辛い体験を今語るのは、これからの世代が不幸を繰り返さないよう願ってくれているからですよね。花にこめた祈りの「おくりもの」が親世代や若者、子どもたちにもに届きますように。(さつき)
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