何故…という思いを胸に

　テレビ等でご活躍の黒柳徹子さんによる自伝的図書『窓ぎわのトットちゃん』は、1981年の発刊以来日本で800万部、全世界では2500万部のベストセラーです。
　この度、トットちゃんこと黒柳さんの戦争体験を、松本春野さんの絵で描いた絵本『トットちゃんの15つぶのだいず』（黒柳徹子 原案、柏葉幸子 文）が発売になりました。
　少女のトットちゃんが、防空壕の中で今日一日分の食糧である、たった数粒のだいずを数える場面があります。「どうせ家へ帰っても、空襲で家が焼けているかもしれない」とトットちゃんは考えます。悲しくてだいずがのどを通らないなら、今、食べてしまった方がいいに決まっている…。この場面などは、トットちゃんより4才年下の私自身の記憶と重なる部分があります。ひもじくて殺伐とした生活の中でも、「生きる！！」という強い思いを捨てずに過ごしたことを思い出しながら、この絵本をお客様にすすめています。
　今年も「終戦記念日」が近づいてきました。「なぜ地球上から戦争が起こらないようにできないのか？」「なぜ文明が発達しているのに戦争を止めることが出来ないのか？」毎年この時期になると同じ疑問を発しています。　(橋村 孝子）