1月の大人コースは
『CHIHIRO’S CHILDREN Happy Time
ちひろの子どもたち ハッピータイム 』
著・絵 いわさきちひろ
グラフィック社 2,200円
いわさきちひろの絵からはやさしい風が吹いてきます。その風が運んでくるのは、あかちゃんの匂い、にぎやかな足音、しあわせなおしゃべり、そしてそれらを見守るちひろのまなざし……。子どもってなんて愛おしいのだろう。子どもを見つめる大人の目は、どうしてこんなに嬉しいのだろう。そんなふうに、子どもと共にある世界を、心からすばらしいと信じさせてくれるのが、画家いわさきちひろの描いた作品です。
ちひろは、戦争を生き抜いた人でした。困窮する状況下で、嘘をつき、盗みを働く子ども、社会の中で傷つけられ、ナイフのような眼差しを周囲に向ける子どもも、もちろん知っていたでしょう。知った上で、どんな子どもにも、無垢と純真はあると信じる意志を持って、童画家としての生涯を選択した人でした。
人はどんな意志を持って生きるかで、ちひろが描いた絵のように、いかようにもこの世界を輝かすことができるのかもしれないと、胸に希望が灯ったことを覚えています。
ちひろの絵は、子どもたちはもちろん、かつて子どもだった全ての大人たちを受け入れる、やさしい居場所です。絵の余白は、観る人の思うまま。ちひろの作品へ、画集を開いてどうぞきままにお出かけください。そこにはいつでも、日向の世界が拡がっています。(絵本作家 松本春野)
※ 上記は松本春野さんの了承を得て、本書のあとがきから抜粋したものです。
コメントをお書きください